LINEを診察券にする具体的な方法のご紹介
少し前に、あるカイロプラクティック院の方から診察券の相談を受けました。院ではカルテを連番で管理していて、新しい患者さんが来るたびに紙の診察券を発行している。これをLINEにしたい。ただ、インターネットで調べると予約システムを乗り換える話ばかりが出てきて、うちは予約のやり方を変えるつもりはない。診察券だけを何とかする方法はないのか、という内容でした。
同じところで立ち止まっている医院は多いはずです。この記事は、その「診察券だけをLINEにしたい」に絞って書きました。予約システムの乗り換えは出てきません。いまの診察券番号のまま、カルテもレセコンも触らずに移す方法の話です。
調べると予約システムの話になってしまう理由
「診察券 LINE化」で検索すると、上位に並ぶのはほとんどが予約システムの会社です。月額1万円前後からのシステムに、LINEからの予約、問診、前日のお知らせと一緒に「モバイル診察券」が付いてくる。診察券は主役ではなく、予約システムの付属機能として売られています。
予約の電話対応に追われている医院なら、それは良い買い物です。ただしこの型の導入は、受付の流れをそのシステムに載せ替えることとセットになります。予約台帳、当日の受付、患者さんへの案内。変わるものが多く、スタッフの慣れにも時間がかかります。診察券の持参忘れと再発行をどうにかしたいだけの医院には、大がかりすぎる買い物です。
診察券だけを移す方法は別にあります。いまの診察券番号を、そのままLINE上のバーコードとして表示する方式です。当社のL会員証はこの方式のLINE会員証システムで、予約機能は持っていません。予約ごと変えたい方には予約システムのほうをおすすめしますし、診察券は当方式、予約は既存のやり方のまま、という組み合わせも普通に成立します。以降は、この「番号をそのまま表示する」方式の話です。
カルテにとって、診察券はただの「番号」です
受付が診察券を受け取って何をしているかといえば、患者番号の特定です。電子カルテやレセコンが必要としているのは番号だけで、紙のカードはその番号を患者さんに持ち歩いてもらうための道具にすぎません。だから道具を紙からスマホの画面に替えても、カルテ側には何も起きません。設定変更もデータ移行もなく、これまで通り動きます。
やることは、番号の見た目を現物の診察券に揃えることだけです。診察券のバーコードには、番号の前後にAやCの英字が付くNW-7という規格が昔から使われてきました。図書館の貸出カードと同じ系統です。数字だけで13桁ならJAN、前後にアスタリスクが付いていればCODE39。規格と桁数、チェックデジットを番号に含めるかどうかまで現物に揃えて表示すれば、受付のバーコードリーダーは紙のときと同じように読み取ります。規格の見分け方と、リーダーの機種による相性(レーザー式はスマホ画面の読み取りが苦手です)はレジ連携の記事に詳しく書いたので、そちらに譲ります。
受付にバーコードリーダーがない医院でも、話は変わりません。画面にはバーコードと一緒に診察券番号が数字でも表示されるので、番号を目で見てカルテを検索している受付なら、運用はいまのままです。物販店のレジと違って、医療の受付はここが柔軟です。
新しい患者さんへの発番も、いまの規則に合わせます。院内コードに連番、末尾にチェックデジット、といった体系ならその通りに自動で発行するので、以前からの患者さんと新しい患者さんの番号が同じ並びで揃います。受付が「どちらの番号か」を意識する場面はありません。
そして、紙の診察券は廃止しなくてかまいません。番号の体系が同じなので、LINEの患者さんと紙の患者さんが窓口に並んでも、受付の手順は一つのままです。スマートフォンをお持ちでない方には従来のカードを渡し続ければよく、全員を移行させる計画も期限も要りません。
ついでに言えば、持参忘れの実害はカードの再発行代ではありません。受付が名前と生年月日でカルテを探し直す数分と、混雑時に探しきれず新患として通してしまったときに生まれる二重カルテです。二重カルテは後から統合の手間がかかるうえ、過去の経過が分断される。診察券が患者さんのスマホから消えなくなるだけで、この事故の入り口が一つ塞がります。
動物病院、歯科、整骨院。診察券の困り方は業種ごとに違う
動物病院の診察券は、よく行方不明になります。狂犬病の予防接種や年1回の健診のように来院の間隔が空くと、前回の診察券は財布から抜かれ、次の来院時には出てきません。受付は名前と電話番号でカルテを探し直し、診察券をまた発行する。飼い主さんのLINEに入っていれば、1年後もそこにあります。動物病院向けの案内に活用の形をまとめています。
歯科は逆に、3か月や半年の検診サイクルで患者さんと長く付き合う業種です。診察券がLINEにあるということは、医院と患者さんのトーク画面が常設されるということでもあり、検診時期のお知らせを配信する使い方に自然につながります。歯科医院向けの案内はこちらです。
整骨院・接骨院・カイロプラクティックは、冒頭の相談のように通院頻度が高く、回数券を併用している院が目立ちます。L会員証は回数券のデジタル管理にも対応しているので、診察券と施術回数券を同じ画面に載せる構成が組めます。紙の回数券につきものの残数の食い違いと持ち忘れが、診察券と一緒に片づきます。整骨院・接骨院向けの案内をご覧ください。
内科などの一般クリニックでは、家族全員分の診察券を一つの財布で管理しているご家庭が珍しくありません。通院するご本人のスマホに移せる分だけ移し、お年寄りやお子さんの分は紙のまま。前の章に書いた通り、併用しても受付の手間は増えないので、その中途半端な状態のまま運用できます。内科・クリニック向けの案内もあります。
費用は「何を変えるか」で一桁ずつ違う
| 方法 | 費用の目安 | 診察券番号の引き継ぎ |
|---|---|---|
| LINE公式アカウントのショップカード | 無料 | できない(独自の番号・バーコード規格を扱えない) |
| 予約システム付属のモバイル診察券 | 月額1万円前後から | システム次第。受付フローの載せ替えが前提 |
| LINEミニアプリの個別開発 | おおむね100万〜500万円 | できる。ただし個別開発の規模になる |
| バーコード表示型のLINE会員証(L会員証) | 初期68,000円+月額9,800円(税別) | できる。規格・桁数・チェックデジットまで現物に合わせる |
無料のショップカードで済むならそれに越したことはないのですが、ショップカードはスタンプカードであって、既存の診察券番号を扱えません。カルテの患者番号と紐づかないカードは、受付では使えない。ここで無料の選択肢が消えます。残りは「予約ごと変えるのか、診察券だけか」の判断で、表のどの行になるかが決まります。
検討するなら、まず診察券の裏面を見てください
相談の前に手元で確認しておくと、話が早いのは次の3点です。
- 診察券のバーコードの下に印字された文字列。前後にA〜Dの英字が付いていればNW-7、アスタリスクならCODE39、数字だけで13桁ならJANの見込みです。
- 受付での読み取り方法。バーコードリーダーで読んでいるのか、番号を目視で検索しているのか。リーダーがあれば機種名も分かると確実です。
- 新しい患者さんへの採番規則。単純な連番か、院内コード付きか、チェックデジットの有無。
分からない項目は空欄でかまいません。診察券の写真が1枚あれば規格の判定はこちらでできますし、リーダーで読めるかどうかは、契約前の読取テストで実機を使って確かめます。ヒアリングから運用開始までの目安は約2週間です。
運用が始まってからの院内での切り替えは、受付のひと言と待合室の掲示で進みます。患者さんの側の登録は、友だち追加をして名前などを入れるだけ。会計を待つ間に終わる程度の手間なので、「次回から診察券はLINEでもお持ちいただけます」という声かけを受付の台本に一行足しておくのが、切り替えを進める一番の近道です。
よくある質問
Q. 電子カルテやレセコンのメーカーに、改修や連携の依頼が必要になりますか。
なりません。カルテ側から見えるのはこれまで通りの診察券番号だけで、システム同士をつなぐ工事が存在しないためです。メーカーへの連絡自体が不要です。
Q. 高齢の患者が多く、スマホの操作についていけるか不安です。
全員を移す必要はありません。移れる方から移り、紙の診察券はそのまま併用できます。番号の体系が共通なので、受付の手順はどちらの患者さんに対しても一つのままです。
Q. いまの診察券にバーコードが印字されていないのですが。
番号を目視で検索している受付なら、そのままLINE化できます。これを機にリーダーでの読み取りを始めたい場合は、既存のバーコードという縛りがない分、規格を自由に決められるので設計はむしろ簡単です。
Q. 診療の内容や検査結果がLINE側に流れることはありませんか。
ありません。この仕組みが扱うのは診察券番号とお名前程度の登録情報だけで、カルテの中身には最初から触れていません。診療に関する情報は、これまで通り院内のカルテ・レセコンの外に出ない構成です。
「診察券だけ」から始める
診察券のLINE化は、医院のシステムを入れ替える話にしなくても実現します。番号はそのまま、カルテもレセコンも触らない。変わるのは、患者さんの財布の中の1枚がスマホに移ることだけです。予約や問診の刷新は、必要になったときに別の話として検討すれば間に合います。診察券に限らず、LINE会員証で何ができるのかは全体像をまとめた記事で解説しています。
お使いの診察券の写真を1枚お送りください。バーコード規格の判定と、いまの受付機器で読み取れるかどうかの見立てまで、無料でお答えします。