LINE会員証の登録キャンペーンの作り方|友だち追加特典とクーポンの設計

LINE会員証の登録キャンペーンの作り方 ─ 友だち追加特典とクーポンの設計
あるサロンで、友だち追加の特典を「全メニュー5%オフ」にしたことがありました。数字だけ見れば手堅い割引ですが、客単価が一万円を超えるお店だと、一回あたりの負担が五百円を軽く超えます。登録は増えても、来るたびに値引きが効くので利益がじわじわ削られ、結局キャンペーンを止めてしまいました。特典の中身を「これくらいなら痛くない額の使い切り一回分」に置き換えたところ、登録の勢いは変わらないまま、負担だけがすっと軽くなった。登録キャンペーンでいちばん多い失敗は、特典が弱いことではなく、割引の掛け方を間違えていることです。
この記事は、LINE会員証の登録キャンペーンを「設計する」ための記事です。店頭でどう声をかけて登録を増やすかや、集めた会員へどう配信するかは別の記事にゆずり、ここでは特典をいくらにするか、どんなクーポンを用意するか、回数の制限やお試し券をどう組むか、割引をどう使えば来店の山と谷までならせるか、に絞ります。小売・サロン・飲食・温浴など、会員証を配っているお店なら業種を問わず同じ組み立て方が通います。読み終えたときに、自分の店の特典とクーポンを紙に書き出せる状態を目指します。
友だち追加特典は、いくらにするか
まず決めるのは、友だち追加の見返りです。ここを料率(何%オフ)で組むと、冒頭のサロンのように客単価の高い店では負担が重くなります。多くのお店でうまくいっているのは、登録した瞬間に「二〇〇〜三〇〇円引き」のような少額の即時クーポンが一枚表示され、その場の会計で一回だけ使える形です。追加してすぐ使えるので登録の動機になり、一回限りだから負担は読み切れます。金額の目安は、主力メニューの単価から逆算します。単価の高い店ほど固定額のほうが扱いやすく、単価の低い店では「一点だけ割引」より「お会計から◯円引き」のほうがレジ前で迷いません。
分かりやすい反面、客単価が高い店だと一回の値引き額が膨らみます。使うなら上限額を決めておくと安心です。
追加した瞬間に一枚表示され、会計で使用済みにして終わり。登録の動機になり、負担も読み切れる定番の形です。
対象商品を選ばず合計から引くので、レジ前の判断が速い。単価の低い店でも計算がぶれません。
客単価が高い店では割引より、ちょっとしたプレゼントのほうが軽い。百円程度の少額でも、登録のきっかけには十分効きます。
四つ並べましたが、迷ったら二番目の少額即時クーポンから始めるのが手堅い選び方です。額は主力単価の一割前後を上限の目安にし、「これを一回配って痛くないか」で決めます。大きく割り引くほど登録は増えると思われがちですが、実際には二〇〇〜三〇〇円の一回分でも登録の勢いは十分につきます。強すぎる特典は、値引き目当ての一見客ばかりを集めてしまうこともあるので、最初は控えめに置いて、反応を見てから調整するくらいで足ります。
額と並んで大事なのが、「一度に渡すか、分けて渡すか」です。ここは見落とされがちですが、効き方がまるで違います。
登録の特典としてまとまったポイントを一度に付与すると、お客様はその一回で使い切って、それで終わります。実際、入会時に大きめのポイントを一括で渡していたあるお店では、一回来て使い切ったきり戻ってこないお客様が目立ちました。渡した総量は同じでも、来店のきっかけは一回しか作れていないわけです。
同じ総量を来店ごとに分けて付与する形にすると、次に来る理由が回数のぶんだけ生まれます。スタンプのように「来るたびに少しずつ貯まり、貯まりきると特典になる」設計にしておけば、二回目・三回目の来店まで橋が架かります。この考え方自体は新しいものではなく、業界には昔から「新規のお客様には三回来てもらえば定着する」という経験則があり、少額の割引券を大量の束にして渡す販促が長く行われてきました。分割して渡すというのは、その定石をデジタルに置き換えたものです。
クーポンは「種類」で選ぶ
即時クーポン(追加時) 200〜300円引き / その場 1回限り
回数制限クーポン 期間中 5回まで / 使用済みでカウント
お試し券 3回券・1回無料 / 回数券への入口
節目クーポン 季節の山谷に配信 / 来店の呼び戻し
※どれもレジ・POS側で使用済み処理をすれば、使った回数がそのまま記録に残ります。
特典の額が決まったら、次はクーポンの種類を組みます。ここを一種類で済ませてしまうお店が多いのですが、目的ごとに形が違います。登録の入り口をつくるのが即時クーポン、来店の回数を増やすのが回数制限クーポン、新しい客層を回数券につなぐのがお試し券、遠のいた客を呼び戻すのが季節の節目クーポン。上のLED表示のように、目的別に持っておくと、キャンペーンのたびにゼロから考えずに済みます。共通しているのは、どれもレジ・POS(や予約・顧客管理システム)で使用済みにすれば、使った回数や履歴がそのまま残るという点です。紙のクーポンでは数えきれなかった「誰が何回使ったか」が、そのまま次の設計の材料になります。
回数制限とお試し券で、次につなげる
「この期間は五回まで◯円引き」のように、使える回数に上限をつけたクーポンです。紙のDMでやっていた回数限定の企画を、そのままLINEに移せます。使うたびにレジ・POSで使用済みにすれば回数が数えられるので、上限の管理も自動。中身の企画はそのままに、配って回収する手間と紙の費用だけが消えます。
「三回のうち一回が無料」なら、実質は三分の一ほどの割引です。友だち追加さえあればその場で渡せるので、初めての客に回数券を試してもらう入り口になります。三回を使い切るころには通う習慣ができ、正規の回数券や定期利用につながりやすい。飲食のスタンプ、サロンの施術チケット、温浴の入館回数券など、まとめ買いを扱う業種と相性のいい形です。
回数制限クーポンとお試し券は、狙う相手が違います。前者はすでに来ている人にもう一回来てもらうためのもの、後者はまだ来ていない人を常連の入り口まで連れてくるためのものです。登録キャンペーンを打つときは、この二枚を組み合わせておくと、集めた会員が「登録しただけ」で止まらず、二回目・三回目の来店へ動いていきます。額を強くするより、次の来店に橋を架けるクーポンを一枚添えるほうが、長い目で見た効き目は大きくなります。
「いくら引くか」より、「何を題材にするか」
クーポンの設計というと割引額の話になりがちですが、何を割引の題材に選ぶかで、負担も効き目も変わります。選ぶ基準は二つあります。
一つめは、原価がほとんど動かないのに、お客様が違いを体感できるもの。たとえばある業種のオプション加工は、工程そのものは変わらず、洗剤を入れる時間を数秒から数十秒に延ばすだけで仕上がりが変わります。店の手間はほぼ増えないのに、受け取ったお客様には違いがはっきり分かる。こうした項目は、値引きの原資を大きく取られずに満足度を上げられるので、クーポンの題材として扱いやすくなります。自店のメニューを見渡して、「工数が増えないのに体感が変わるもの」を探してみてください。
二つめは、知られていないから使われていないもの。オプションを勧めても断られる理由は、多くの場合その内容ではなく値段です。一度体験すれば違いが分かるのに、その一度が起きない。だとすれば、クーポンの目的は「安く売ること」ではなく「一度試していただくこと」になります。この整理をしておくと、割引額を大きくする必要がなくなります。
逆に、売れても困る商材があることも覚えておいてください。季節ものの中には、工程に手間がかかり、注文が集中すると他の作業まで滞るものがあります。販促を打てば注文は増えますが、納期が延びて現場が回らなくなる。「集客できるか」ではなく「さばききれるか」で題材を選ぶ——これは現場を持っているお店ならではの判断で、外から見た販促の理屈だけでは出てこない視点です。
割引は、来店の山と谷をならす
割引には、もう一つあまり語られない役割があります。来店の時期をこちらで散らして、現場の忙しさをならすことです。あるお店で、「お客様が自分で選んだ、その月の一日だけ使える割引」を配ったところ、面白いことが起きました。月初にまとめて来ると思いきや、選ぶ日は人によってばらけ、結果として月末に偏っていた来店が月の中に散った。おかげで作業場の仕事が平準化され、混む日と暇な日の落差が小さくなったのです。割引は集客の道具だと思われがちですが、来店日をこちらから動かせるなら、厨房・施術ベッド・予約枠・工場といった、限られた処理能力の負荷をならす道具にもなります。
同じ発想を一年に広げると、配信の年間カレンダーになります。季節ごとに需要の山と谷があるので、その谷に向けてクーポンや案内を先に置いておく。クリーニングを例にとれば、一月はフォーマル、三月は学生服、四月はダウン、五月は布団、八月はワンピース、といった具合に品目の山が動きます。サロンなら年末や連休前、飲食なら歓送迎会や忘年会の季節、温浴なら寒い時期、と業種ごとに同じ地図が描けます。大事なのは、需要が落ちる時期こそ黙らないことです。閑散期に「この節目だからこそ出す価値がある」と発信し続けると、その時期に頼む習慣そのものを作り直せます。山のときに追いかけるより、谷を先に埋めにいくほうが、キャンペーンは効きます。
混む時期の少し前に「早めのご予約で◯円引き」を出し、来店を山の手前へ分散させます。ピーク当日の行列や待ち時間がやわらぎ、機会損失も減ります。
暇な時期こそ配信を止めず、季節の節目に合わせたクーポンで足を運んでもらいます。谷の来店が増えるほど、現場の忙しさは一年を通して平らになります。
「その月の好きな一日に使える割引」を配ると、来店日が客ごとにばらけます。月末に寄っていた混雑が中旬へ散り、日ごとの負荷がならされます。
曜日を動かしたい場合も同じ考え方が使えます。あるお店では特定の曜日だけポイントの付与を大幅に増やす販促を続けたところ、その曜日に来店を寄せるお客様が定着しました。面白いのはその先で、還元率の高さに気づいたお客様が「この曜日に出すと実質いくら安くなる」と計算して使いこなすようになったことです。店から見れば実質的な値引きですが、来店が読める曜日ができたぶん、人の配置は組みやすくなります。割引を「安くする道具」ではなく「来店の日を動かす道具」として見ると、設計の選択肢が広がります。
配布コストと、広告の使いどころ
ここまでの設計が現実的なのは、配る費用がほとんどかからないからです。紙のDMは一通あたり八〇〜一〇〇円かかりますが、LINEの配信は一通あたり一〜三円の桁で、およそ二〇分の一以下。しかも封を切ってもらいやすい。回数制限クーポンも季節の案内も、紙で刷って郵送していたころは配るたびにお金が飛んでいきましたが、LINEなら中身の企画はそのままに、配布コストだけがすとんと下がります。だからこそ、月に一度の即時クーポン、季節の節目クーポン、谷を埋める案内と、何枚重ねても販促費が膨らみません。
登録の母数そのものを増やしたいときは、広告を軽く足す手もあります。店舗の二キロ圏内で、まだ友だちになっていない人だけに絞ってLINEの友だち追加広告を出すやり方で、費用の目安は一人あたり三〇〇円ほど、三万円で一〇〇人くらいが登録する、といった規模感です。集まるのは、まだ店を知らない完全な新規。ここで大事なのは順番で、特典とクーポンの設計が先です。受け皿を整える前に広告で人を集めても、一回使って終わりになりがち。まず即時クーポンとお試し券で「次の来店」まで用意してから広告を回すと、集めた登録がそのまま来店へ流れていきます。
よくある質問
Q友だち追加の特典は、いくらくらいが適正ですか。
追加した瞬間に使える二〇〇〜三〇〇円引きの即時クーポンが定番で、その場で一回だけ使えるようにします。客単価の高い店は「◯%オフ」より固定額のほうが負担を読みやすく、割引が重いと感じるなら百円程度の少額プレゼントでも登録の動機には十分です。主力メニューの単価から逆算し、一回配って痛くない額に収めるのがコツです。
Q料率(◯%オフ)と固定額、どちらで組むべきですか。
単価によります。客単価が高い店で料率にすると一回の値引き額が膨らむので、固定額のほうが扱いやすくなります。単価の低い店や点数の多い会計では、対象商品を選ぶ「一点割引」より「お会計から◯円引き」のほうがレジ前で迷いません。料率を使うなら値引きの上限額を決めておくと安全です。
Q回数制限のクーポンは、LINEでも作れますか。
作れます。「期間中◯回まで」といった回数制限つきのクーポンを配り、レジ・POSで使うたびに使用済みにすれば、回数がそのまま数えられます。紙のDMでやっていた回数限定の企画を中身そのままに移せて、配って回収する手間と紙の費用だけが減ります。誰が何回使ったかも記録に残るので、次の設計にも生きます。
Qお試し券は、どう使うと効果的ですか。
「三回券で一回無料」のように、実質三分の一ほどの割引で組むと、初めての客に回数券を試してもらう入り口になります。友だち追加さえあればその場で渡せるのが強みで、三回使い切るころには通う習慣ができ、正規の回数券や定期利用につながりやすくなります。まとめ買いを扱う業種ほど相性がよい形です。
Q割引で、来店の集中はならせますか。
ならせます。「その月の好きな一日に使える割引」を配ると、選ぶ日が客ごとにばらけて、月末に偏っていた来店が月の中に散ります。年単位では、需要の谷に向けて節目のクーポンや案内を先に置くと、忙しさが一年を通して平らになります。割引は集客だけでなく、現場の負荷をならす道具にもなります。
Qキャンペーンの配信費は、どれくらいかかりますか。
LINEの配信は一通あたり一〜三円の桁で、八〇〜一〇〇円かかる紙のDMのおよそ二〇分の一以下です。即時クーポンも回数制限クーポンも季節の案内も、何枚重ねても販促費は膨らみません。登録の母数を増やしたいときは、二キロ圏内の未友だちに絞った友だち追加広告を軽く足す手もありますが、先に特典とクーポンを整えてから回すのが順番です。
Qクーポンを配る相手を、購入の実績で絞ることはできますか。
レジ・POS側で条件を設定できれば可能です。ある店では「小物と一部の品目を除いて一定点数以上をご利用のお客様」に加工の割引券を自動で発券し、翌月をその回収月に充てる形で運用していました。品目ごとに点数を按分して条件を作れるため、配る相手と時期を分けたキャンペーンが組めます。会員証側から配信で届ける形でも、同じ考え方が使えます。
Q配信したクーポンで、レジ側の値引きを自動で効かせられますか。
配信する画像にバーコードを載せておき、店頭のスキャナで読ませてレジ側の値引きを発動させる運用ができます。紙の割引券でやっていたことを、そのままLINEに移す形です。画像にバーコードを重ねる加工がひと手間必要ですが、一度作ればキャンペーンごとに使い回せます。
特典は控えめ、クーポンは目的別に
お使いのレジ・POS(や予約・顧客管理システム)と、主力メニューの単価、今キャンペーンで動かしたいこと(登録を増やしたい、再来を増やしたい、谷の時期を埋めたい、など)を教えていただければ、特典の額とクーポンの組み合わせをその場で一緒に描けます。クーポンや回数券の仕組みはL会員証のサービスページにまとめています。大きな割引を打つ前に、まずは特典を一回分に収めて、次の来店につながる一枚を添える。この順番だけ押さえておくと、キャンペーンの手応えが変わってきます。キャンペーン以前の基本的な仕組みについては、LINE会員証とは何かの記事で説明しています。
主力メニューの単価とお使いのレジ・POSを教えていただければ、特典の額とクーポンの組み合わせを無料で一緒に設計します。
回数制限クーポンやお試し券、季節の配信カレンダーのご相談も承ります。