多店舗のGoogle広告を、店舗ごとに計測する|GTM・GA4・店舗名データで組んだCV計測の実例

多店舗のGoogle広告を、店舗ごとに計測する ─ GTM・GA4・店舗名データで組んだCV計測の実例
先日、東北の複数県にまたがって十数店舗を展開する、ある来店型の多店舗チェーン様の、Google広告の計測をお手伝いしました。ちょうど期間限定のキャンペーンを、いくつかのエリアの店舗で同時に走らせるタイミング。ご相談の中心は、「広告費をかけた分、どの店舗の集客に効いているのかを、店舗ごとに見たい」というものでした。もっともな要望なのですが、素直に組もうとすると、ここで一つ壁にぶつかります。
こうした来店型で、予約や購入がその場のWebで完結しない業態の場合、Webサイト上でのゴール(コンバージョン)は「電話をかける」か「地図でルートを調べる」の二つが中心になります。決済や予約がWebで終わらないぶん、来店の一歩手前にあたるこの二つのタップを、来店意向の指標として計測するわけです。ところが店舗が十数もあると、「電話タップ×店舗数」「ルートタップ×店舗数」で、コンバージョンの数が二十も三十にもなってしまう。実際、施主からも「店舗ごとに一つずつコンバージョンを作るのは、数が多すぎて管理しきれない」という声をいただきました。この記事は、その課題をどう設計で解いたか、実際の設定内容とあわせてご紹介します。
コンバージョンは2個。店舗はデータとして持たせる
設計の起点は、発想を一つ変えることでした。店舗を「コンバージョンの種類」で分けるのをやめ、コンバージョンは電話タップとルートタップの2個だけにする。そのうえで、どの店舗で起きたかは、イベントに店舗名というデータを相乗りさせて一緒に送る。店舗別の内訳は広告の画面で分けるのではなく、あとからGA4側でこのデータを使って分解する、という組み方です。1つのランディングページ=1つのキャンペーンなので、入札の最適化という点でも店舗別にコンバージョンを分ける必要はなく、店舗別はあくまで「集計して眺めるため」に足りればよい、と割り切れたのが大きい判断でした。
店舗別に個別作成 電話×店舗+ルート×店舗 = 数十個
今回の設計 CVは 2個(電話 / ルート)+店舗名データ
※広告の管理はCV2個で完結。店舗別の内訳は、送ったデータを使ってGA4側で後から分解する。
GTMで、GA4のイベントとして計測する
まず、ランディングページ側の各リンクに、目印になる印を付けます。電話リンク(情報欄の番号と電話予約ボタン)には「これは電話タップ」という印と「どの店舗か」の印を、ルート確認ボタンには「これはルートタップ」という印と店舗名の印を、それぞれ属性として持たせます。地図の埋め込み枠には付けません。ここから先は、タグの管理をGoogleタグマネージャー(GTM)に集約して組みます。手順はこの4つです。
リンクに印を付ける
電話リンクに data-cv="phone_tap"、ルートボタンに data-cv="route_tap" を付け、どちらにも data-store="◯◯店" で店舗名を持たせます。店舗名の値は、後で集計に使うのでそのまま日本語で入れておきます。
GTMで「属性を読む変数」を2つ作る
クリックされた要素の属性を読み取る変数を、data-cv 用と data-store 用に一つずつ用意します。これで、押されたリンクの「種類」と「店舗名」を自動で拾えます。
トリガーは「リンクのみ」1つ
発火条件は、クリックされた要素が a[data-cv] に一致するリンクだけ、というトリガーを一つ作れば十分です。店舗が何店あっても、トリガーは1つで足ります。
GA4イベントのタグを1つ置く
イベント名に「種類の変数(phone_tap / route_tap が自動で入る)」、パラメータに store_name = 店舗名の変数、を指定したGA4イベントタグを一つ配信します。タグもトリガーも1つずつで、全店舗・全リンクをまかなえます。
ここが、この組み方のいちばん気持ちのいいところです。店舗が9店でも十数店でも、GTMの中身は変数2つ・トリガー1つ・タグ1つのまま変わりません。店舗名は変数が自動で拾ってくれるので、新しい店舗やLPが増えても、GTMを触り直す必要がありません。
GA4のイベントを、Google広告のコンバージョンにする
計測できたイベントを、Google広告側のコンバージョンとして扱えるようにします。ここは最近の管理画面で手順が変わっていて、つまずきやすいところなので、実際に通ったルートをそのまま書きます。まず、GA4の「イベント」から phone_tap と route_tap をキーイベント(旧・コンバージョン)に設定します。名前だけで新規作成するのではなく、実際に一度タップしてイベントが届いてから、その行の星印を付けるのが確実です。
次に、Google広告への取り込みですが、以前あった「手動でインポートするボタン」は今は廃止されています。広告側のコンバージョン作成でインポートの選択肢が出てこないのは、操作ミスではなく仕様です。正しい入り口は、GA4の「管理→Google広告のリンク」を開き、該当リンクの画面下にある「次のステップ」から「Google広告でコンバージョンを作成する」を選ぶルート。ここでキーイベントを指定すると、GA4とGoogle広告の両方にコンバージョンが作られます。最後に一つ、忘れると数字が動かない大事な操作があります。作成直後のコンバージョンは「セカンダリ」で入るので、電話・ルートの両方を「プライマリ(メイン)」に切り替えること。これをやらないと、入札の最適化にもコンバージョン列にも計上されません。件数の数え方は、反響の人数を見たいので「1回」にしています。
店舗名のデータで、店舗別に集計する
ここまでで、Google広告の画面にはコンバージョンが2個だけ、すっきり並びます。では店舗別はどこで見るのかというと、STEP 1でイベントに相乗りさせた店舗名データを、GA4側で分解します。GA4の「管理→カスタム定義」で、store_name というパラメータを「店舗名」というディメンションとして登録しておきます。あとは探索レポートで、行に「店舗名」、値に電話タップ・ルートタップの件数を並べれば、どの店舗でどれだけ来店意向が発生したかが、店舗別の表になって出てきます。
電話タップとルートタップの合計が、キャンペーン全体の数字として見えます。入札の最適化はこの2個で回るので、広告運用はシンプルなまま。店舗別の列はここには出しません。
「店舗名」ディメンションで分ければ、店舗ごとの電話タップ・ルートタップの件数が一覧に。どのエリアの、どの店の反応が良かったかを、キャンペーンの効き目として店舗単位で確認できます。
この設計のもう一つの利点が、横展開の軽さです。Google広告・GA4・GTMを全店で共通の1セットにまとめてあるので、別エリアのキャンペーンLPを新しく足すときも、やることはそのLPのリンクに印(店舗名の属性)を付けるだけ。GA4や広告側の設定はいっさい追加せず、新しい店舗名が集計の値として自然に増えていきます。実際、最初に組んだエリアのあとに続いた別エリア・別都市のLPは、この属性付与だけで同じコンバージョンにそのまま乗りました。
広告はCV2個で管理、内訳は店舗別で把握
よくある質問
Qなぜコンバージョンを「電話」と「ルート」の2つにしたのですか。
ネット予約で完結しない業態では、来店の一歩手前にあたる行動がこの2つだからです。電話をかける、地図でルートを調べる。どちらも来店意向の強いシグナルなので、これを来店の代理指標として計測します。業態によっては、ここが「予約フォーム送信」や「クーポン表示」に変わります。
Q店舗ごとにコンバージョンを分けなくて、店舗別の成果は分かるのですか。
分かります。コンバージョンは2個のままでも、イベントに店舗名のデータを一緒に送っているので、GA4側でそのデータを使えば店舗別に分解できます。広告の画面では合計、GA4では店舗別、と見る場所を分けているだけで、店舗ごとの数字は失われていません。
Q店舗が増えたら、GTMや広告の設定はやり直しになりますか。
なりません。GTMは変数2つ・トリガー1つ・タグ1つのまま、店舗名は変数が自動で拾います。新しい店舗やキャンペーンLPを足すときも、そのページのリンクに店舗名の属性を付けるだけで、同じコンバージョンにそのまま計上されます。
QGoogle広告への取り込みで、インポートのボタンが見つかりません。
現在は手動インポートのボタンは廃止されています。GA4の「管理→Google広告のリンク」の画面下、「次のステップ」から「Google広告でコンバージョンを作成する」を選ぶのが正しいルートです。作成後は、コンバージョンを「プライマリ(メイン)」に切り替えるのを忘れないでください。ここが未設定だと数字が動きません。
Q同じ仕組みは、飲食チェーンや小売の多店舗でも使えますか。
使えます。計測したい行動(電話・ルート・予約・クーポンなど)と、店舗名をデータとして相乗りさせる、という考え方は業態を問いません。多店舗でGoogle広告の店舗別の効きを見たいが、コンバージョンの管理は増やしたくない、という場面で有効です。
多店舗のGoogle広告は、店舗が増えるほど計測がこんがらがりがちです。コンバージョンをむやみに増やす前に、「何を来店の指標にするか」と「店舗の区別をどこで持つか」を先に決めておくと、管理も分析もぐっと楽になります。店舗別の計測設計や、Google広告・GA4・GTMの組み方でお困りの多店舗の事業者様は、お気軽にご相談ください。いまの計測の状態を拝見して、どこを整えると店舗別に見えるようになるかをお答えします。
多店舗のGoogle広告の計測設計・GTM/GA4の実装は、インフィードが承ります。
店舗別に成果を見たいが管理は増やしたくない、というご相談も歓迎です。