回数券システムの選び方|予約連動・手動消込・オンライン販売、どれが自店に合うか

デジタル回数券、どの方式が自店に合うか ─ 予約連動・手動消込・オンライン販売を比較
「回数券、そろそろ紙をやめたいんです。でも、うちのやり方に合うのがどれなのか分からなくて」。あるエステサロンのオーナーから、こんな相談を受けたことがあります。回数券をデジタルにする、と一口に言っても、実際にはやり方がいくつもあって、店の営業スタイルによって向き不向きがはっきり分かれます。同じ「デジタル回数券」でも、予約に連動させる方式と、店員が手で消していく方式とでは、現場の動きがまるで違います。ここを取り違えると、便利にするつもりが、かえって受付をもたつかせてしまいます。
回数券をデジタルにすること自体の基本 ── 売り方や有効期限、法律まわりの話 ── は別の記事にゆずり、この記事では「どの方式を選ぶか」の一点に絞ります。ヨガやフィットネス、整体、エステ、温浴施設、洗車、習い事など、回数券を使う業種はさまざまですが、選び方の物差しは共通です。3つの方式を並べ、受付のスピード、料金のかかり方、残数の持ち方という3つの軸で、自分の店にはどれが合うのかを見極められる状態を目指します。読み終えたとき、うちはこの方式で始めればいい、と言い切れることをゴールにします。
デジタル回数券の、3つの方式
デジタル回数券のやり方は、大きく3つに分けられます。①予約システムに回数券を紐づけ、予約が入るたびに自動で1回ぶんを消化する方式。②予約は使わず、来店したときに店側が管理画面から手動で消し込む方式。③会員証に回数券を紐づけ、オンラインで販売して店頭で消し込む方式です。どれが正解ということはなく、店の営業スタイルによって収まりのよい方式が違います。まずは、残数がどう管理されるか、お客様と店側の手間、向く店を並べて見ていきます。
予約が入るたびに自動で1回ぶんを消化。残数はシステムが管理し、お客様もマイページで残りを確認できます。半面、利用のたびに予約を取る一手間が増えるので、もともと予約制の業態向きです。
予約を介さず、来店時に店側が管理画面から1回ぶんを消します。紙の券を手で切り離す運用にいちばん近く、ふらりと来店するお客様が多い店に向きます。店員の操作がひと手間かかります。
回数券を会員証に紐づけ、オンラインで販売して店頭で消し込みます。買った回数券が会員証の中にまとまるので、後から券を探し回る手間がありません。手売りのまま付与すれば段階的にも移せます。
3つを分けるのは、「予約を挟むかどうか」と「残数を誰が管理するか」です。予約制のレッスンなら①が自然に回り、予約を取らずに来店する温浴施設や洗車なら②か③が現実的です。ここまでは向き先の見当をつける段階ですが、実際に選ぶときは、店頭で毎日効いてくる3つの軸で踏み込む必要があります。次の章から、その受付スピード・料金・残数を順に見ていきます。
いちばんの分かれ目は「受付の速さ」
まず効いてくるのが、受付のスピードです。回数券がいちばん使われるのは、たいてい混み合う時間帯です。夕方のフィットネス、休日の温浴施設、行列のできる洗車 ── そういう場面では、1人にかけられるのはほんの数秒しかありません。紙の回数券が根強く残ってきたのは、この速さのおかげでもあります。差し出されたら1枚切り離すだけ。迷う余地がなく、待たせません。
デジタルに替えるとき、多くの店がここでつまずきます。スマホを出してもらい、アプリを開き、画面を切り替え、店員が管理画面を操作して……と手数が増えると、混雑時間帯に列が伸びます。だから採否を分けるのは、機能の多さではなく、「画面を提示してもらい、確認するだけ」という紙と同等の動線を組めるかどうかです。①の予約連動は、予約の時点で消化が済んでいるので受付そのものは速い。③の会員証連動は、お客様が会員証を開いて「使用する」を押し、店員はそれを確認するだけ、という流れにできれば、紙に近い速さを保てます。②の手動消込は、店員が管理画面で人を探して1回消す操作が入るぶん、混雑時にはいちばん手数がかかりがちです。落ち着いた時間帯の来店が中心なら気になりませんが、ピークに集中する店では、この数秒の差が列の長さになって表れます。回数券の利用がどの時間帯に偏るかを思い浮かべながら、方式を当てはめてみてください。
従量課金の罠 ─ 使うほど膨らむ料金
予約件数の従量課金 上限超で 50件ごと 約1,078円 + オンライン決済 4%台
チケット販売型SaaS 販売手数料 5% + 決済 3%前後 = 合計 約8%
消化が集中する日 仮に一日 500回 の消化 → 最上位プランでも超過
※料金は方式・事業者で異なります。件数が多い店ほど従量部分が効きます。
次に、見落とされがちなのが料金のかかり方です。デジタル回数券のサービスには、予約件数や販売枚数に応じて料金が増える従量課金型があり、これが利用の多い店で牙をむきます。たとえば繁忙日に大勢が訪れる施設で、その半数が回数券を使えば、一日で数百回もの消化が発生します。予約件数ベースの従量課金だと、上限を超えたぶんは50件ごとに約1,078円が積み上がり、オンライン決済の手数料4%台も乗ってきます。仮に一日500回の消化ともなれば、最上位プランでも上限を超えてしまう、という規模感です。
料金の形は、サービスによって本当にさまざまです。チケット販売型のSaaSでは、販売手数料5%に決済手数料3%前後が加わり、合計でおよそ8%が売上から差し引かれる設計があります。ほかにも決済手数料5%型や、件数に関わらず月額5万円といった外部サービスもあります。大切なのは、自分の店の消化件数を当てはめて総額を試算することです。件数が多い店ほど、月額の安さより従量部分のほうが効いてきますし、逆に件数が読める小規模な店なら、従量型のほうが割安に収まることもあります。表面の月額だけで比べると、繁盛したときに思わぬ請求が来かねません。回数券の消化がいちばん多い月を思い浮かべて、その件数で計算しておくのが安全です。
残数を、どこで持つか
レジやPOSに回数券の残数機能があれば、そこを正データとして持てます。読み取り時に1回ぶんを差し引き、会計と一体で処理できます。ただし残数機能を持たないレジ・POSも多く、その場合はこの方式は取れません。
残高の管理はWeb側に任せ、レジ・POSは読み取ったときに金額をゼロにするだけ、という分担が現実解です。回数券の残数はWebで正しく持ち、店頭では「使う」操作だけを担わせる形になります。
POSを正データとして残数を持ち、定期的にCSVやJSONで送ってLINE側に表示する方式もあります。お客様は会員証で残りを確認でき、正しい数字はPOSに残ります。POSと会員証をきれいに分業させる形です。
3つ目の軸は、残数をどこで持つかです。これは店側の運用のしやすさに直結します。予約管理やPOSを持たない業態 ── たとえばフィットネスやヨガのスタジオ ── では、Webサーバー側で残数を管理し、お客様が自分で「使用する」を押す形が向きます。逆に、券種によって値段が違う店は少し注意が必要です。平日と土日祝で料金が変わる、大人と子供で分かれる、といった店では、残数を細かく分けすぎると管理が煩雑になります。この場合は、料金の大分類ごとにまとめて残数を持ち、その単位でゼロにできる設計にすれば、複雑な料金体系でも無理なく回ります。自分の店の券種がいくつあり、それをどこで持つのが素直かを、方式選びの前に一度整理しておくと迷いません。
全部を一度に変えなくていい
方式を選ぶとき、もう一つ知っておくと楽になるのが、いきなり全面的に切り替えなくてもいい、ということです。回数券を綴り型で売り、購入時にQRコードがまとめてトークに届く方式には、後日そのQRを使おうとしたときに、トークを遡って未使用のものを探す手間があります。何枚も届いた中から、まだ使っていないものを見つけ出すのは意外と面倒です。会員証に紐づく方式なら、回数券は会員証の中にまとまっているので、遡って探す必要がありません。ここが会員証連動の、地味ですが大きな利点です。
そして、販売までまとめてデジタルにしなくても始められます。回数券の販売はこれまでどおり店頭の手売りのまま続けて、店側が管理画面からお客様の会員証に回数券を付与すれば、その会員証に「使用する」ボタンが表示されます。売り方は変えず、消し込みだけを先にデジタルにする ── そんな段階的な移行ができるわけです。まず消込から始めて、現場が慣れてきたらオンライン販売に広げる、という順番なら、負担を抑えながら移せます。全部を一度に変えようとして頓挫するより、この進め方のほうが確実で、途中で紙に戻すこともなく落ち着きます。
自分の店には、どれが向くか
ヨガやフィットネスのレッスン、完全予約制のエステ・整体など。予約の時点で消化が済むので受付が速く、残数も自動で管理されます。お客様が毎回予約を取る前提の業態に、素直にはまります。
温浴施設や洗車など、予約を取らない来店型。②の手動消込は紙にいちばん近い運用ですが、混雑時の手数に注意。会員証を配っているなら③にして、お客様の提示を確認するだけの動線にすると速く回ります。
会員証に紐づければ、券を探す手間がなく、手売りのまま付与して消込だけ先にデジタル化する段階移行もできます。習い事やサロンなど、会員証を配りながら少しずつ移したい店に向きます。
迷ったら、いま予約システムを日常的に使っているかどうかを起点にすると決めやすくなります。予約が営業の中心なら①、予約を取らない来店型なら②か③。そのうえで、会員証を配っている、あるいはこれから配るつもりなら、券を探す手間のない③に寄せておくと後が楽です。どの方式でも押さえるべきは2点だけ。自分の店の消化件数を当てはめて料金の総額を試算することと、混雑時の受付動線が紙と同じくらい速く保てるかを確かめること。この2つさえ確認すれば、方式選びで大きく外すことはありません。機能の一覧表を眺めるより、この2点を自分の店に当てはめるほうが、ずっと的確に選べます。
よくある質問
Qデジタル回数券にすると、混雑時の受付は遅くなりませんか。
方式しだいです。予約連動なら予約の時点で消化が済み、会員証連動ならお客様が「使用する」を押した画面を確認するだけ、という紙に近い動線を組めます。逆に、来店ごとに店員が管理画面で人を探して消す手動消込は、ピーク時にいちばん手数がかかります。混む時間帯が多い店ほど、受付の動線から方式を選ぶのが得策です。
Q予約の仕組みがない店でも、デジタル回数券は使えますか。
使えます。予約を介さず、来店時に店側が管理画面から手動で消し込む方式や、会員証に紐づけて店頭で消し込む方式があります。温浴施設や洗車など、予約を取らずにふらりと来店する業態は、この予約なしの方式が向きます。予約システムの導入は必須ではありません。
Q料金はどう決まりますか。思ったより高くなることはありますか。
従量課金型だと、利用が多い店で高くなることがあります。予約件数の上限を超えると50件ごとに約1,078円が加わり、オンライン決済の手数料4%台が乗る例や、販売手数料5%+決済3%前後で合計およそ8%が引かれる例があります。決済手数料5%型や月額5万円型もあり、形はさまざまです。自分の店の消化件数を当てはめて総額を試算するのが確実です。
Q回数券の残り回数は、どこで管理されますか。
方式によります。レジ・POSに残数機能があればそこで持てますが、多くはWeb側で残高を管理し、レジ・POSは読み取り時に金額をゼロにするだけ、という分担が現実的です。POSを正データとして持ち、定期的にLINE側へ表示する方式もあります。予約管理やPOSを持たない業態は、Web側で管理してお客様が自分で「使用する」を押す形が向きます。
Q平日と土日祝、大人と子供で料金が違います。デジタル回数券にできますか。
できます。券種が複数あっても、料金の大分類ごとにまとめて残数を持ち、その単位でゼロにできる設計なら無理なく回ります。券種を細かく分けすぎると管理が煩雑になるので、大きなくくりで持つのがコツです。自分の店の券種がいくつあるかを先に整理しておくと、方式選びがスムーズになります。
Q今の紙の回数券から、いきなり全部デジタルにしないと駄目ですか。
段階的に移せます。販売は店頭の手売りのまま続け、店側が管理画面から会員証に回数券を付与すれば、その会員証に「使用する」ボタンが出ます。まず消し込みだけをデジタル化し、慣れてからオンライン販売に広げる、という進め方が現場の負担を抑えられます。途中で紙に戻す心配もありません。
機能の多さより、動線が合うかで選ぶ
いまの回数券の券種(何種類あるか、料金の分かれ方)と、予約システムやレジ・POSをお使いかどうか、一日の消化件数のおおよそを教えていただければ、3つの方式のどれが向くか、料金の総額がどれくらいになるかをその場でお答えします。会員証に紐づける方式の仕組みはL会員証のサービスページにまとめています。全部を一度に変える前に、まず自分の店がどの方式で始めるべきかだけ、先に見極めておくと、その後の判断がぐっと早くなります。会員証と組み合わせたときの全体像は、こちらの記事にまとめました。
お使いの予約システムやレジ・POS、回数券の券種を教えていただければ、3つの方式のどれが向くかを無料でお答えします。
手売りのまま消込だけデジタル化する、段階的な移行のご相談も承ります。