デジタル会員証はいまのPOSレジで使えるか|レジを替えずに導入する仕組みと確認ポイント

デジタル会員証はいまのPOSレジで使えるか ─ レジを替えずに導入する仕組み
デジタル会員証のご相談では、「うちのレジで使えるんですか」というようなご質問を多くいただきます。業務用の専用POSは1台で数十万円する買い物なので、会員証のためにレジを入れ替えるという選択肢は、ほとんどの店にとって最初から存在しません。ですからこの疑問はもっともで、答えを先に言えば、たいていの場合そのままのレジで使えます。
ただ「使えます」の一言では判断材料にならないと思うので、この記事では、なぜいまのPOSレジでそのまま読めるのか、導入前にレジ側で確認しておくべき機能はどれか、ポイント残高の連動までやりたい場合に何が必要か、を商談の現場で実際に説明している内容のまま書きます。
なぜ、いまのPOSレジでそのまま読めるのか
不思議に思われる方が多いのですが、仕組みは単純です。レジに合わせているのは、会員証の側だからです。業務用のPOSレジには、会員カードのバーコードをどう読むかを決める設定があります。バーコードの規格、読み取る桁数、カード番号の開始位置、店舗番号の位置、チェックデジットの有無。まずお使いのレジのこの設定を伺い、そのとおりの形になるように会員証のバーコードを作ります。レジ側に何かを対応していただくのではなく、こちらが合わせにいく作業です。
やっていることは、いまのレジに合わせて会員カードを新しく発注するのと変わりません。レジから見れば、これまでどおり会員カードのバーコードを1本読んでいるだけです。レジのプログラムには手を加えませんし、レジ側で新たに設定を変えていただく必要も基本的にありません。古い機種でも、メーカーがどこでも、会員バーコードを読む設定があれば成立します。
設計の一例を挙げると、小売でおなじみの13桁のJANコード形式で番号を組む場合、先頭の桁をカード種別の区別に使えます。既存の紙カードは先頭が1、レジに付属するアプリは2、LINEの会員証は3、という具合に体系を分けておけば、番号の衝突が起きず、レジは3種類のカードを同じ顧客台帳の上で扱えます。この手の設計はお使いのレジの管理体系を聞いてから決める部分で、いわば服の仕立てに近い作業です。
逆に言うと、世の中のデジタル会員証サービスの中には「特定のクラウドレジ専用」のものもあります。選定時は、会員証がレジを指定してくるのか、会員証の側がお使いのレジに合わせてくれるのか、という向きを最初に確認してください。この向きが逆になっていると、レジ側を合わせる話から始まってしまいます。
導入前にレジ側で確認する機能は3つ
会員カードのバーコードをスキャンすると顧客情報が出る機能です。いま物理カードで顧客管理をしている店なら、まず備わっています。
既存のお客様をデジタル会員証に切り替えるときに使います。レジで顧客を呼び出した状態で新しいバーコードを読み、「番号を変更しますか」に「はい」と答えるだけ。紛失カードの再発行と同じ操作なので、これもたいていのレジにあります。この紐付けは初回の1回だけで、次回からはスマホの提示だけで呼び出せます。
機種によっては、1人の顧客に紙カード・レジ付属のアプリ・デジタル会員証と、複数の番号種別を併用登録できます。既存の仕組みを何も止めずに追加できるので、移行を急がせない運用が組めます(この枠がなくても、②の番号変更方式で移行はできます)。
もう1点、細かい話ですが、同じ機種でもプログラムのバージョンで挙動が変わることがあります。最終判断の前にレジのシステム情報画面でバージョンを控えておくと、確認がスムーズです。
現場でよく出る特殊事情と、その答え
商談で実際に出た事情をいくつか挙げます。自分の店に近いものがあれば参考にしてください。
レジにスキャナーが付いていない店。スマホ画面を読めるタッチスキャナーを後付けするだけで始められます。数万円の買い切りで、消耗品ではないので何年も使えます。スキャナーの機種選び(レーザー式は画面が苦手、という話)はレジ連携の解説記事に書きました。
POSをインターネットにつないでいない店。実は珍しくありません。この場合もレジ側は何も変えず、フロントにタブレットかスマホを1台置けば、会員証の管理画面はそちらで動かせます。レジは今まで通りオフラインのまま、バーコードだけを読む役に徹する構成です。
iPadレジの店。Bluetooth接続のバーコードスキャナーをつなげれば同じことができます。判断基準はレジの見た目ではなく「バーコードで顧客を呼び出せるか」の一点です。
近くレジを入れ替える予定の店。デジタル会員証はレジ本体と独立しているので、入れ替え後もそのまま使えます。表示するバーコードの形式は変えられるため、次のレジが別メーカーになっても追従できます。むしろ「レジを替えても会員基盤が残る」ことが、レジ付属の会員機能との大きな違いです。
店舗ごとにレジが独立しているチェーン。レジ同士がつながっていない構成だと、A店の会員がB店に行けば新規扱いになりますが、これは紙カードでも同じことで、デジタル会員証にしたから悪化する話ではありません(会員証の番号自体は全店で重複しないよう発行されます)。レジ側に他店の顧客も一元管理できる機能があれば、それを使うことで全店共通になりますし、店舗単位で分けたまま運用する形でも成立します。
そもそもレジを使わない業態。タブレットの管理画面にスキャナーをつなぎ、来店時にバーコードを読んでポイントを付ける、というレジなしの運用もできます。レジ連携は効果を高める要素ではありますが、必須条件ではありません。
レジに付属する会員アプリとの、使い分け
レジメーカーが会員アプリを提供していることもあり、どちらを使うかというご相談をいただきます。どちらが優れているという話ではなく、得意な範囲が違います。レジに付属するアプリは、レジの顧客管理とそのままつながっているのが強みです。会計や購買の履歴と一体で動くので、レジのデータを使った仕組みは組みやすくなります。
一方、会員証をLINEの側に持つ利点は、レジの構成に左右されにくいことです。世代の違うレジが混在しているチェーンでも、表示するバーコードをそれぞれに合わせられます。将来レジを入れ替えたときも、会員データは会員証システムの側に残ります。そして、どちらか一方を選ぶ必要もありません。番号の体系を分けておけば、紙のカード・レジ付属のアプリ・LINEの会員証が同じ顧客台帳の上で同居します。実際、既存の仕組みを止めないまま追加された店舗が多くあります。
連携の副産物は「相手が誰だか分かる」こと
レジと会員証がつながって初めて生まれる価値がひとつあります。ふつうのLINE公式アカウントは、友だちが増えても管理画面上では相手が誰だか分かりません。会員番号も来店履歴も見えないので、全員に同じ配信を打つことしかできない。レジの会員番号と紐づいたデジタル会員証なら、番号で特定の会員を検索して、その人だけにメッセージや画像を送れます。お預かり品の仕上がり連絡や、修理見積もりの確認のような「電話がつながらない問題」が、お客様が使い慣れたLINEの上で解消します。
店頭でも同じことが起きます。スキャンした番号の体系を見れば、その方が既にLINE会員かどうかが会計の瞬間に分かるので、未登録のお客様にだけ声をかければいい。全員に同じ案内を繰り返す負担が消えます。
ポイント残高までスマホで見せたい場合(データ連動)
ここまでの話は「レジが会員証を読む」方向で、レジ側の改修はゼロです。逆方向、つまりPOSに貯まっているポイント残高をお客様のLINE上に表示したい場合は、POSからデータを渡す仕組みがひとつ増えます。
といってもAPIのような大掛かりな連携は必須ではありません。POSにポイント残高をCSVで書き出す機能があれば、それを会員証システムの管理画面に日次で取り込む方式で実現できます。毎晩決まった時刻に自動でデータが流れる構成にした例も、閉店後の日報作業と同じ流れで手動アップロードする運用にした例もあります。反映が翌日になる点だけ許容できれば、古いPOSでも残高表示までたどり着けます。なお、渡すデータはカード番号とポイントと最終来店日程度で、住所や誕生日のような個人情報をPOSの外に出す必要はありません。
よくある質問
Q対応しているレジメーカーの一覧はありますか。
メーカーで判定する方式ではないので、一覧はご用意していません。お使いのレジの会員バーコード設定を伺って、その形式に合わせて会員証の側を作るためです。機種名とバーコード設定(規格・桁数)が分かれば、導入前の読取テストで確かめられます。
Qいま配っている紙カードやレジ付属のアプリはやめないといけませんか。
やめる必要はありません。番号体系を既存レジに合わせて設計するため、紙・アプリ・LINEの会員証が同じレジで同居できます。お客様のペースで移行が進み、移行を強制する場面がありません。
Q導入後にレジ本体を入れ替えたらどうなりますか。
会員証はそのまま使い続けられます。会員データは会員証システム側にもあるため、レジが変わっても会員基盤は失われません。新しいレジの規格に合わせてバーコードの表示形式を調整するだけです。
レジはそのまま、が正解になる理由
デジタル会員証とPOSレジの関係は、突き詰めると「レジが読める形のバーコードを、スマホに表示できるか」だけの話です。そしてそれは、レジを替える話ではなく、会員証の側が合わせにいく話です。数十万円のレジ資産はそのまま生かし、顧客の呼び出しも履歴も番号体系も変えない。当社のL会員証はこの考え方で設計したLINE会員証システムで、規格・桁数・チェックデジットまで既存レジに合わせて調整します。お使いのレジの機種名がひとつ分かれば、そこから先の判定は私たちの仕事です。レジとの相性より手前の、会員証そのものの解説はこちらの記事にあります。
レジの機種名(分かればバーコード設定の画面写真)をお送りください。お使いのPOSレジで使えるかどうか、導入前の無料読取テストまで含めてお答えします。