近年、ビジネスのグローバル化に伴い、企業のホームページを多言語対応にするニーズが高まっています。
弊社でも、今あるホームページを海外の方にも多く見ていただいてビジネスのきっかけにしたい、というお声を頂戴する機会も増えております。
本記事では、比較的手軽に実装できる多言語化の方法と、SEOを考慮した本格的な導入方法について解説します。
簡易的な多言語化:Google翻訳の活用
最も手軽な多言語化の方法として、Google翻訳を活用する方法があります。以下のように実装することで、サイト訪問者が任意の言語で閲覧できるようになります。
すでに日本語で存在するWebページを英語化したい場合はURLの最初に https://translate.google.com/translate?sl=auto&tl=en&u= を追加するだけです。
たとえば、弊社サイトの場合 https://translate.google.com/translate?sl=auto&tl=en&u=https://infeed.co.jp/ とすることで英語のサイトになります。
これはボタンの体裁で多言語化の機能としても良いですし、海外向けに英語で書いた記事のリンク先をすべて英語にするために使用する、などの限定的な使い方もできます。
- 基本的な実装方法
<a href="https://translate.google.com/translate?sl=auto&tl=en&u=https://infeed.co.jp/">English version</a>
このURLの構成要素:
- sl=auto: 元の言語を自動検出
- tl=en: 翻訳先の言語を指定(この例では英語)
- u=: 翻訳対象となるURLを指定
主要言語への対応例
- 英語: tl=en
- 中国語(簡体字): tl=zh-CN
- 中国語(繁体字): tl=zh-TW
- 韓国語: tl=ko
ただ、この方法ではSEO的には良い施策ではありません。
自動翻訳URLのWebページは検索エンジンにインデックスされにくく、高品質なコンテンツと評価されにくい傾向にあるためです。
なので、本格的に海外からの検索にも強い多言語化する際には、言語毎にURLが存在する構成が最も無難です。
この方法の注意点
一旦ここまでのおさらいです。
Google翻訳による多言語化には、以下のような課題があります:
SEO面での制限
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- 翻訳されたページが検索エンジンにインデックスされない
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- 各言語圏からの自然検索流入が期待できない
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- ドメインの評価に影響を与える可能性
ユーザビリティの制限
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- フォームなどの動的コンテンツが正しく機能しない
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- デザインが崩れる可能性がある
- 元の日本語部分がすべて翻訳されるので、一部のリンクがリンク切れになるなどのリスクがありえる
SEOに配慮した多言語化の実装方法
ここからは、具体的にSEOに強い多言語サイトに必須の要件でメインとなるものを書いていきます。まず、言語毎にURLの構成を考えます。
言語別URLの設計
推奨される URL 構造:
日本語版:https://example.com/ja/ 英語版:https://example.com/en/ 中国語版:https://example.com/zh/
上記のように日本語(ja)、英語(en)、中国語(zh)のようにディレクトリを分けつつ、言語毎にページを作成します。
さらに、その際に以下は基本的な要件として実施してきます。
hreflang属性の適切な設定
リンク構造も言語毎に設定しておくことで、適切にリンク先のページが何語のページなのかがブラウザに伝えられます。
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/ja/"> <link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.com/en/"> <link rel="alternate" hreflang="zh" href="https://example.com/zh/">
HTML lang属性の正確な設定
さらに、表示しているページそのものが何語なのか?をブラウザがただしく解釈するためにhtml lang属性も設定します。
<!-- 日本語ページの例 --> <html lang="ja"> <!-- 英語ページの例 --> <html lang="en">
CMSを利用している際の注意点
WordPressなどのCMSを利用している場合はプラグインで多言語化を実装するケースも多いと思います。
その際に、プラグインの要件として以下の点を満たしていることもチェックしていきましょう。
多言語化プラグインの選択
必須機能
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- 言語別のURL生成が可能
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- hreflang属性の自動設定
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- 検索エンジン対応
推奨機能
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- コンテンツの翻訳管理機能
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- 言語切り替えメニューの実装
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- フォームなどの動的コンテンツの多言語対応
まとめ
多言語化の方法は、簡易的なアプローチとSEOを意識したアプローチの2つに分けて考えることができます。
簡易的な対応
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- Google翻訳を活用
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- 実装が容易
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- コスト抑制が可能
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- SEO効果は限定的
本格的な対応
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- 言語別URLの実装
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- hreflang属性の設定
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- 適切なプラグインの活用
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- SEO効果が期待できる
サイトの目的や予算に応じて、適切な方法を選択することが重要です。
インバウンド対策として本格的なSEO効果を求める場合は、言語別URLとhreflang属性の実装が基本としておすすめになります。
ただ、ほとんどの場合、すでにWebサイトが存在する状況で、これから本格的に多言語化したい!というケースになるので、その際は個別具体的に今のサイトをどのように多言語に拡張していくのか、慎重に計画していきましょう。
一度方向性を決めて実装まで動いてしまうと、後から変更するのがさらにコストも時間もかかります。
本日も読了、ありがとうございます!