この記事では、拡張コンバージョンが問題なく動いているかをチェックする方法についてご案内させていただきます。
昨今では、サードパーティークッキー規制などにより、Google広告では各種コンバージョンを設定することが基準になりつつあります。
そのため、拡張コンバージョン自体を既に設定しているアカウントも多いと思いますが、その拡張コンバージョンが問題なく機能しているかを意外とチェックしていないアカウントも一定数あるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではGoogle広告の拡張コンバージョンが問題なく動作しているかどうかをチェックする方法について改めてご案内いたします。
Google広告の拡張コンバージョンが計測できているか確認する方法
1. なぜ拡張コンバージョンの計測が重要なのか?
拡張コンバージョン(Enhanced Conversions)は、広告の成果計測をさらに正確にするための仕組みです。
ユーザーが入力したメールアドレスや電話番号などの情報をハッシュ化(暗号化)し、Google 広告とすり合わせることで、既存のコンバージョン計測よりも精度の高い成果測定が期待できます。
- 自動拡張コンバージョン: Chrome ブラウザ等から自動で取得されたデータを利用する方式
- 手動拡張コンバージョン: フォーム入力など、ページ上に存在する顧客データ(メールアドレス・電話番号など)をハッシュ化して送信する方式
日本国内では主にメールアドレスや電話番号が利用されます(名前・住所などは日本語表記のため、現状は米国のように活用が進んでいません)。
拡張コンバージョンに関する注意点
拡張コンバージョンは、ユーザー取得データに基づくものです。そのため、基本的にはユーザーの個人情報、具体的には電話番号やEメールアドレスを元に計測します。拡張コンバージョンの計測対象は主にフォーム送信のみとなります。
そのため、フォーム送信のコンバージョンを計測していない場合、この設定を確認する必要はありません。
2. 拡張コンバージョンのアラートを見たらまず確認すべきポイント
2-1. Google 広告の「目標診断」でアラートをチェック
- Google 広告管理画面を開き、画面左のメニューから 「目標」 を選択
- 目標タブ内の 「診断」 をクリック
- 「拡張コンバージョン」 に関する警告メッセージ(エラーや要確認など)が表示されているか確認
「自動設定に加え、ページ埋め込みコードで拡張コンバージョンを設定しましょう」などのメッセージが表示された場合は、自動拡張コンバージョンのデータだけでは十分な計測がされていない可能性があります。
この場合、手動拡張コンバージョンの設定を追加し、Google タグマネージャー等を使ってメールアドレスや電話番号を計測する設定が推奨されます。
2-2. 「拡張コンバージョンのカバレッジ(coverage)」をチェック
拡張コンバージョンのカバレッジ率が 0% のまま、または低い値のままだと、正しく計
測されていない可能性があります。
もしアラートが出ており、かつカバレッジ率が低ければ、次に説明する「手動拡張コンバージョン」の実装を検討しましょう。
3. 手動拡張コンバージョンの実装と確認フロー
3-1. 実装方法の大まかな流れ
- 計測したいフォームページの構成確認
- サンクスページ(送信完了ページ)にメールアドレスや電話番号が表示されているか
- もしくはフォーム送信の確認ページ(サンクスページの手前)でユーザーのメールアドレス・電話番号を取得できるか
- Google タグマネージャーで拡張コンバージョン用タグを作成
- 送信完了や確認ページで、ユーザーが入力したメールアドレス・電話番号を変数として取得
- 取得したデータをハッシュ化(暗号化)し、拡張コンバージョン用タグに渡す
- 公開・テストを実施し、データが正常に送信されているかを確認
ポイント:
- サンクスページにユーザー情報が存在しない場合は、入力確認画面(フォーム送信手前の画面)で取得することも可能です。
- 電話番号は国際電話番号形式(日本は “+81”)に変換して送る必要があります。
Google タグマネージャー(GTM)を使った手順の例
1. 既存のコンバージョンタグのチェック
拡張コンバージョンに切り替える際に、すでに設定済みのコンバージョンタグをいったん見直します。
- 「自社のウェブサイトでユーザーから提供されたデータを含める」のチェックが入っている場合、サイトの構成によってはサンクスページ(送信完了ページ)でしかデータを取得できない設定になっていることがあります。
- サンクスページ以外のページ(例:フォームの確認画面など)から取得する場合は、いったんこのチェックを外しておくと良いでしょう。
2. 新しい「ユーザーデータ(ユーザー提供データ)イベント」タグを作成
- タグの種類として、Google 広告の「ユーザーデータ(Enhanced Conversions) イベント」を選択します
- コンバージョン ID・コンバージョン ラベルを既存のコンバージョンアクションからコピー&ペースト(Google 広告の管理画面に表示されます)
3. フォームの入力情報(メールアドレス・電話番号など)の取得方法を検討
日本の拡張コンバージョンでは主に、
- メールアドレス(例:abc@example.com)
- 電話番号(例:09012345678 → +819012345678 など国際番号形式)
をハッシュ化して送信します。 - もしサンクスページで入力情報が確認できるなら、そのページで取得する方法がシンプルです。
- 送信完了後のサンクスページに入力情報が出てこない場合は、フォームの確認画面などで取得し、そのページの読み込みと同時に拡張コンバージョン用タグを発火させる、といった工夫が必要になります。
4. GTMの「ユーザー提供データ」変数でデータを組み立てる
GTMでは、カスタム変数などを使ってフォーム入力情報をまとめ、「メールアドレスが入力されていればメールアドレスを、電話番号だけなら電話番号を送る」といった条件分岐のロジックを設定できます。
- コードの書き方はサイト構成によって異なるため、GTM上でフォーム要素の名前やデータの受け渡し方法を確認しながら設定することが必要になります。
- ハッシュ化はGTNやGoogle 広告側で自動的に行われるため、ユーザーデータの変数に平文(入力されたままの情報)を渡すだけでOKな場合もあります。
5. トリガーの設定
- 対象ページ(サンクスページ or 確認画面など)でタグを発火させるトリガーを作成
- DOM Ready や Page Viewなど、ページが完全に読み込まれたタイミングを指定して発火させる
- URLに特定のパス(例:/contact/complete/)が含まれている場合のみ有効にする
など、実際のサイト構成にあわせて条件を調整します。
6. 「プレビュー」モードでテストし、本番公開
最後に、GTMの「プレビュー(デバッグ)」モードを使って実際に送信されるデータが正しく取得できているかを確認します。
- タグアシスタント(プレビュー画面)で「ユーザー提供データ」が期待どおりに取得されているか
- ネットワークタブ(ブラウザの開発者ツール)で、Google 広告への通信に拡張コンバージョン用の情報がしっかり含まれているか
問題なければGTMを公開し、数日〜1週間ほど様子を見て、Google 広告の管理画面(拡張コンバージョンの「目標診断」「カバレッジ」など)が正しく変化するかどうかを確認します。
ポイント
- 拡張コンバージョンの手動設定は、サイトの構成やフォームのしくみによって実装方法が異なります。
- サンクスページでユーザー情報を取得できるケースもあれば、フォーム送信前の確認画面でデータを取得することが必要な場合もあります。
- Google タグマネージャーの「ユーザーデータ」タブやトリガー設定を上手に使い、自社サイトにあった形で設定しましょう。
- 実装後は、タグアシスタントのプレビューやネットワークタブで送信データをチェックし、Google 広告管理画面の拡張コンバージョン関連のステータスやカバレッジが変動するかを確認しましょう。
以上がおおまかな流れです。実装の正確さや管理画面の表示をこまめにチェックして、拡張コンバージョンを活用した正確な成果計測を行いましょう。
3-3. エラー表示や反映状況の確認
ステータスの変化
- 実装から数日〜1週間ほどで、Google 広告の管理画面のステータスが「確認中」 → 「有効」 もしくは「優良」あるいは、別のエラーに変わる
- 正常にデータが送られていれば「確認中」から「有効」に変わり、拡張コンバージョンのカバレッジにも値が出てくることが多い
エラーメッセージについて
- もしサンクスページ以外(確認画面)でデータを取得している場合、まれに「ユーザーデータのフィールドがありません」などのアラートが出る可能性があります。
- これは、サンクスページでデータを拾うことを前提にしたシステムからくる仕様上のメッセージで、実際には正しくデータが送れていても表示される場合があります。
- 実際に拡張コンバージョンが計測できていれば問題ありません。
4. まとめ
- 最初に Google 広告の「目標診断」「拡張コンバージョンのカバレッジ」をチェック
- アラートが出ていて、0% など計測カバレッジが低い場合は、手動拡張コンバージョンの導入を検討
- Google タグマネージャーでメールアドレスや電話番号をハッシュ化して送信する仕組みを実装
- サンクスページでユーザー情報が取れない場合は、確認画面などの手前ページで取得して送信
- タグアシスタントのプレビュー機能とブラウザの開発者ツール(ネットワークタブ)でデータ送信を確認
- 実装から数日〜1週間後を目処に、Google 広告管理画面で拡張コンバージョンのステータスを再確認
- 「有効」など問題のないステータスになっていれば、ほぼ正常に計測されている
拡張コンバージョンは、Cookie 規制が進む中でより正確に広告効果を測定するための仕組みです。実装後の確認をしっかり行うことで、拡張コンバージョンから得られる正確な成果データをもとに、広告の最適化が進めやすくなります。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。