突拍子もないようなお話ですが、人にとって広告って一体何なんでしょうか?
いつもはターゲティングや広告コミュニケーションの方法や戦略についてお話することが多いのですが、今日はそもそも論にしてみました。
今、コロナウィルスなどの影響によって広告費も、いろいろなところに偏りが出ている状況です。
広告といえば「集客をするためのツール」といったようなイメージでしょうか。
あるいはユーザー視点に立つと「邪魔なもの、少しうざいもの」といったような印象でしょうか。
大半の広告というのは受け手側に立った視点で語られることが多いでしょう。
結論から申しますと広告というのは人間の生活環境そのもの、だということができます。
日常の風景から「広告を完全に視界に入らないようにする」ことはもはや不可能です。
例えば「広告が一切存在しない世の中」というのが仮にあったとして、イメージしてみたとすると、なんとも味気ない色のない世界観というのがイメージされるのではいでしょうか。
広告は人間の生活環境であって、むしろ広告とは全くの無縁でいることは不可能に近いといえます。
だからこそ、広告というのはワクワクさせるものや良いイメージ、ポジティブなものである必要があるとも考えられます。
もちろん中には、あえて煽るような表現や危機感を募らせるような広告表現もときには有効です。
しかし、「人の生活環境そのものに影響を与えている」視点に立てば、デフォルトの広告の立ち位置としてはやはり、人に良い影響を与えるようなイメージのものであることで、少しポジティブな世界に寄与することが、社会的な役割としても求められているのではないでしょうか。
もちろん、広告というのは関わる立場や関係によって役割が大きく異なります。
メディアオーナーから見た広告
メディアを持っている媒体社からみた広告というのはどういったものになるでしょうか。
メディアを運営している媒体、その運営会社というイメージでとっていただいければと思います。
ユーザーにとってはうざいものだったりする広告ですが、媒体社にとっては「より多くのコンテンツを届けるための装置」ということになります。
例えば、世界ではじめての広告というのが1800年代のフランスの新聞広告だと言われています
この新聞広告はその当時新聞というのは非常に高価なもので富裕層しか手に入れられない情報源でした
しかし、民主化が進む中でより多くの人に、情報源となる新聞を届けるために、企業がそこに広告を出稿したのが始まりとされています。
新聞社の収益の半分は新たに広告料として入り、その分購読料が半額になる、といった仕組みが形成されました。
そこで新聞の価格が半額になることによって、より多くの情報が人々に届けられるようになったというような背景があると言われています。
メディアオーナーという点で考えると広告というのは「コンテンツをより多く認知させるための装置」というような役割になってきます。
このように広告というのはユーザーやメディアオーナーや広告主、それぞれの観点で見ると全く違ったものになるというのが面白いところでもあります。
広告は大半がユーザー目線から語られることが圧倒的多数ですが、広告=うざいものというのも最近少し変わってきています。
スマートフォン以前は広告は基本的にはばらまき型が主流でした。
むしろ、ターゲティングという考え方がスマートフォン以前と比較すると、非常に限定されていたという背景があります。
この記事を書いている約12年前に最初期のiPhoneの発売が開始されたので、インターネット広告ターゲティングの基盤は直近約12年で激変したといっても過言ではないでしょう。
現在はご存知の通り、狙ったユーザー層だけにピンポイントに広告を出すことが現実的に可能になったことで、広告はよりユーザーにフィットしたプライベートな広告に移っていっているということができます。
TVCMが「パブリックな広告」だとするとインターネット広告は「プライベートな広告」となり、相対する立ち位置で見ることができます。
ここでいうパブリックとは、「共通認識」といった意味で記載させていただいております。
TVCMを露出することでメジャー感の演出になる、というわけですね。
プライベートな広告も最近の大きなトレンドの一つとしてやはり存在するのは機械学習ですね。
具体的には広告の目的に応じて、様々な条件に基づいて自動的に最適化されるものです。
たとえば、広告アカウント内で人間が設定しきれない膨大な量の変更を機械学習によりリアルタイムに更新されます。
「コンバージョン可能性が高いユーザー」というのは顕在的に、商材に意識が向いているユーザだけとは限りません。
様々な条件下で、「原因はハッキリとわからないけれども何故かコンバージョンが高いユーザーグループ」というのが今後はより多く発見されるようなトレンドが今後、予測されます。
このように、「機械学習により生活環境がデザインされる広告」が進化しつづけているとも考えられます。
今後も「生活環境の一部としての広告」を有効活用していきましょう。